―婚前契約書を作ると、二人の「当たり前」の違いが見えてきます―
結婚式、新居、家具、旅行。
結婚前には、二人で決めることがたくさんあります。
ところが、
これから何十年も一緒に生活するうえで大切なはずの「お金」については、
意外と具体的に話していないことがあります。
毎月の生活費はどうするのか。
二人の収入は誰が管理するのか。
それぞれ自由に使えるお金はいくらにするのか。
貯蓄はどうするのか。
どちらかが仕事を減らしたらどうするのか。
最近、婚前契約書の作成について実際にお話を伺いながら、改めて感じたことがあります。
婚前契約書を作る意味は、完成した契約書だけにあるのではない。
作る途中で、
「相手はそんなふうに考えていたんだ。」
と知ることにも、大きな意味があると思います。
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同じ「共働き」でも、考えていることは違います
例えば、
結婚後も二人とも働く。
そこまでは決まっていたとします。
でも、
子どもが生まれたらどうするのでしょう。
妻が仕事を減らすのか。
夫が働き方を変えることも考えるのか。
収入が減った側の負担を、
夫婦としてどう考えるのか。
「その時になったら考えればいい。」
もちろん、それも一つの考え方です。
ただ、その「その時」に初めて、
二人の考えがまったく違っていたと分かることもあります。
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家計の話をすると、その人の価値観が見えてきます
私は婚前契約書の相談で、
単に、
「生活費はいくらにしますか。」
と数字だけを決めればよいとは考えていません。
一方は、
「結婚したら収入は夫婦のお金。」
と思っている。
もう一方は、
「自分で稼いだお金は基本的に自分のもの。」
と思っている。
どちらが正しいという話ではありません。
問題になるのは、
お互いが「当然、相手も同じように考えている」と思っていることです。
結婚してから初めてその違いに気づけば、
「そんな話は聞いていない。」
となるかもしれません。
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私は、契約書に入れない話も聞きます
婚前契約書の作成ですから、
最終的には条文にしていきます。
でも、相談の途中では、
必ずしもすべてが契約書の条項になるわけではありません。
これからどんな生活をしたいのか。
仕事をどう考えているのか。
子どもができたらどうしたいのか。
お金について何が不安なのか。
そういう話を聞いていくと、
最初は「この条件を契約書に入れたい」と思っていたことでも、
話しているうちに、
「ここまで決めなくてもいいですね。」
となることもあります。
反対に、
話してみて初めて、
「これは決めておいた方がいい。」
と気づくこともあります。
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契約書は、二人の違いをなくすためのものではありません
結婚する二人でも、
考え方が全部同じということはないでしょう。
お金の使い方も違う。
仕事に対する考えも違う。
家族との付き合い方も違う。
大切なのは、
違いがないことではなく、
違いが分かった時に、二人でどうするかを話せることだと思います。
婚前契約書を作る過程では、
普段ならわざわざ話さなかったことまで、
具体的に話すことになります。
私はそこに、
この書類の大きな意味があると思っています。
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「離婚した時のための書類」だけでは、もったいない
婚前契約書というと、
「離婚した時に財産を取られないためのもの」
というイメージを持つ方もいるでしょう。
確かに、
財産の帰属や離婚時について取り決めることもあります。
でも、それだけなら、
婚前契約書の一部分しか見ていません。
これから始まる結婚生活について、
二人が何を大切にするのか。
お金、仕事、家庭について、
どんな考えを持っているのか。
結婚する前に一度きちんと話してみる。
婚前契約書は、そのためのきっかけにもなる書類です。
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まとめ
結婚前に、
お金の話をするのは少し気まずいかもしれません。
まして、
離婚や不貞の話など、
できればしたくないでしょう。
でも、
結婚してから、
「そんなふうに考えていたなんて知らなかった。」
となるより、
今だから話せることもあります。
婚前契約書を作ることが目的ではありません。
二人で話す。
違いを知る。
必要なことを決める。
そして、
決めた方がよいことを契約書という形に残す。
私は、その順番が大切だと思っています。
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「婚前契約書に何を書けばよいのか、まだ決まっていない。」
その段階でも構いません。
結婚後の生活について何が気になっているのかをお聞きしながら、二人で話しておいた方がよいこと、契約書として決めておいた方がよいことを整理していきます。
※このコラムは、特定の行動や結論を勧めるものではありません。
ご自身の状況を整理するための一つの視点としてお読みください。