―大切なのは「相手を懲らしめる書類」ではなく、これから守れる約束にすることです―
配偶者の不倫が発覚した。
それでも、すぐに離婚するのではなく、
もう一度夫婦としてやっていくことを選んだ。
そんな時、
「二度と同じことがないように、できるだけ厳しい誓約書を作りたい。」
と思うのは、理解できることです。
もう二度と傷つきたくない。
次に裏切った時には、
今度こそ責任を取ってほしい。
その気持ちが、
厳しい条件を入れたいという思いにつながることもあります。
ただ私は、誓約書の作成では、
「厳しい内容にすること」と「意味のある内容にすること」は、必ずしも同じではない
と考えています。
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不倫された直後は「できるだけ全部決めたい」と思いやすい
例えば、
「今後、異性とは二人で会わない。」
「異性と個人的な連絡を取らない。」
「飲みに行く時は事前に連絡する。」
「スマートフォンを求められたら見せる。」
「次に不倫したら高額な慰謝料を支払う。」
こうした希望が出ることがあります。
どこまで取り決めるかは、
それぞれの夫婦によって違います。
ただ、項目を増やしていく時に、
私は一度考えてほしいことがあります。
その約束を、この先本当に続けられるのか。
ということです。
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守れない約束をたくさん並べても、夫婦関係は修復しません
不倫をされた側からすれば、
「した側が我慢するのは当然でしょう。」
と思うかもしれません。
その気持ちも分かります。
一方で、
夫婦としてこれから何年、何十年と生活していくのであれば、
現実に守れる約束なのかも考えなければなりません。
仕事上、異性と連絡する必要がある人もいます。
職場の飲み会に異性がいることもあります。
生活環境が変わることもあります。
作った時点では納得していた約束が、
数年後には現実と合わなくなることもあるでしょう。
私は、誓約書を作ることによって、毎日の夫婦生活が監視する側と監視される側だけの関係になってしまうことにも注意が必要だと思っています。
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だからといって「信じるしかない」で終わらせる必要もありません
逆に、
「夫婦を続けると決めたのなら、もう相手を信じましょう。」
だけで済ませるのも違うと思います。
一度失われた信頼は、
「もうしないから。」
という一言だけで元に戻るものではありません。
何が不倫に当たるのか。
不倫相手との関係をどうするのか。
再び同じことがあった場合にどうするのか。
夫婦として再出発するために、
お互いが何を約束するのか。
必要なことは、
きちんと話し合っておいた方がよいでしょう。
信じることと、何も決めないことも別です。
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私が「なぜ、その条項を入れたいのですか」と聞く理由
書類作成の相談では、
希望された条項をそのまま文章にする前に、
「これは、なぜ入れておきたいのでしょうか。」
と確認することがあります。
例えば、
「異性との連絡を禁止したい」
という希望でも、
その理由を聞いていくと、
本当に不安なのは連絡そのものではなく、
以前の不倫相手との関係が続いているのではないか、
ということかもしれません。
それなら、
考えるべき約束も変わってきます。
何を書くかだけでなく、なぜそれを書きたいのか。
そこが分からなければ、
その夫婦に必要な誓約書にはならないと思っています。
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誓約書だけで不倫を防ぐことはできません
ここは、
書類を作成する立場だからこそ、
はっきりお伝えしておきたいところです。
どれだけ細かな誓約書を作っても、
書類そのものに人の気持ちや行動を変える力があるわけではありません。
「誓約書を作ったから、もう絶対に大丈夫。」
とは言えません。
では、作る意味がないのか。
私はそうも思いません。
不倫が起きた後、
これから夫婦をどうするのか。
何をしてはいけないのか。
同じことが起きたらどうするのか。
曖昧だったものを二人で話し合い、
「これからの約束」を目に見える形にする。
そこに誓約書を作る意味があると考えています。
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まとめ
不倫をされた直後には、
「二度と裏切られないように、できるだけ厳しくしておきたい。」
と思うことがあります。
でも、
厳しい条項をたくさん入れれば、
それだけ安心できる夫婦になるとは限りません。
反対に、
「もう一度信じる」と決めたからといって、
何も決めずに元の生活へ戻る必要もありません。
何が不安なのか。
何を約束してほしいのか。
その約束は現実に守れるのか。
そして、
二人はこれからどんな夫婦関係にしたいのか。
誓約書を作る目的は、相手を縛ることではなく、これからの夫婦関係を考えた結果を形にすること。
私は、そのように考えています。
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「不倫は許すことにしたけれど、このまま何も決めずに夫婦生活へ戻るのは不安。」
「誓約書にどこまで書けばよいのか分からない。」
そんな場合には、
最初から条項を決めておく必要はありません。
これまで何があったのか、
何に一番不安を感じているのかをお聞きしながら、
これからのために何を決めておいた方がよいのか、
一緒に整理したうえで書面にしていきます。
※相手方との慰謝料等について争いがあり、交渉や代理が必要となる場合には、行政書士では対応できないため、弁護士への相談をご案内します。
※このコラムは、特定の行動や結論を勧めるものではありません。
ご自身の状況を整理するための一つの視点としてお読みください。