―「もっと話し合えば分かり合える」とは限りません―
「何度話しても同じことの繰り返しなんです。」
夫婦問題のご相談を受けていると、よく聞く言葉です。
妻が気持ちを伝える。
夫が反論する。
妻が「そういうことを言っているんじゃない」と説明する。
夫もさらに自分の言い分を話す。
気づけば言い争いになり、最後はどちらかが黙って終わる。
そして数日後、また同じことで揉める。
こういう時、
「もっときちんと話し合わなければ」
と思う方は多いのですが、
私は、話し合う回数を増やす前に、二人の話し合い方そのものを見た方がいいこともあると思っています。
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「話を聞いてほしい」と「正しいかどうか」がぶつかっている
例えば妻が、
「あなたにあんな言い方をされて悲しかった。」
と伝えたとします。
妻が伝えたいのは、
自分がどう感じたかです。
ところが夫から、
「でも、先に怒ったのはそっちだろ。」
と返ってくる。
すると妻は、
「今はどっちが悪いかという話をしているんじゃない。」
となります。
一方の夫は、
「自分だけが悪いと言われている。」
と感じているのかもしれません。
同じテーブルで話していても、
二人が話していること自体が違っている。
これでは、話し合いがかみ合わないのも無理はありません。
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「分かってもらおう」と説明を重ねるほど悪化することもあります
自分の気持ちが伝わらないと、
人はもっと詳しく説明したくなります。
「だから私が言いたいのは……」
「前にも同じことがあったでしょう。」
「あなたはいつも……」
でも、相手がすでに、
「責められている」
と受け取っていれば、
説明を増やすほど、
相手は自分を守ろうとするかもしれません。
そして、
こちらもさらに分かってもらおうとする。
この繰り返しです。
相談を受けていると、
「伝え方が足りない」のではなく、「もう伝え過ぎているのではないか」
と感じることもあります。
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相手の心理を見ることは、相手を正当化することではありません
ここは、
私が夫婦問題の相談で大切にしているところです。
相手がなぜそのような反応をするのかを考えると、
「相手の肩を持つのですか。」
と思われるかもしれません。
そうではありません。
暴言や威圧的な態度まで、
「そういう心理だから仕方がない」
と認める必要はありません。
ただ、
夫婦関係をこれからどうするか考えるのであれば、
自分の気持ちだけでなく、
相手が何を考え、こちらの言葉をどう受け取っているのかを見ることも必要です。
相手を理解することと、
相手に従うことは別です。
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話し合う前に「今日は何を決めたいのか」を一つにする
何度話しても同じところで終わってしまうなら、
次に話す時は、
全部を解決しようとしないことも一つの方法です。
例えば、
「今日は、来月からの生活費について決めたい。」
「今日は、子どもの前では言い争わないためにどうするかを話したい。」
一つに絞ります。
過去の出来事。
相手への不満。
これからの夫婦関係。
お金。
子ども。
それらを一度の話し合いですべて扱えば、
話が広がってしまうのは当然です。
これは夫婦の話し合いだけでなく、
離婚や別居について条件を整理する時にも同じです。
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それでも話し合えない夫婦はいます
伝え方を工夫すれば、
どんな夫婦でも話し合えるようになる。
私は、そこまでは言えません。
一方が話し合おうとしても、
相手が話を聞こうとしない。
何を言っても怒鳴る。
無視を続ける。
話した内容を後からすべて否定する。
そういう関係もあります。
ですから、
「うまく話し合えないのは、私の伝え方が悪いからだ。」
と何でも自分の責任にする必要はありません。
工夫して変えられることと、自分一人では変えられないことを分けて考える。
私は、そこも大切だと思っています。
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「夫をどう説得するか」だけを考えない
相談に来られた方から、
「どう言えば夫に分かってもらえますか。」
と聞かれることがあります。
もちろん、
伝え方を一緒に考えることはできます。
でも私は、
その先も考えたいと思っています。
伝え方を変えても相手が変わらなかったら、
あなたはどうしたいのか。
この関係を続けたいのか。
少し距離を置きたいのか。
今はまだ決められないのか。
相手を動かす方法を探し続けるだけでは、自分の人生まで相手次第になってしまいます。
最終的に考えたいのは、
「夫をどう変えるか」ではなく、
「自分はこれからどうしたいのか」です。
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まとめ
夫婦で何度話し合っても、
いつも同じところで終わってしまう。
そんな時、
単純に「もっと話し合えばいい」とは、
私は思いません。
何について話しているのか。
お互いが何を受け取っているのか。
今、決める必要があることは何なのか。
そして、
自分たち二人は本当に話し合える状態なのか。
そこを一度整理してみる。
寄り添うことは大切です。でも、それだけで夫婦関係が動くとは限りません。
相手のことも見ながら、
変えられることと変えられないことを整理し、
自分がこれからできることを考える。
私は、そのための相談でありたいと思っています。
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「何度話しても夫に伝わらない。」
「話し合うたびに喧嘩になり、もうどう話せばよいのか分からない。」
そんな状態であれば、
夫を説得する方法だけを考えるのではなく、
これまで二人がどのように話し合ってきたのか、
一度一緒に整理してみませんか。
そこから、次にできることを考えていきます。
▶ 夫婦(離婚)カウンセリングについて
※暴力や強い威圧などがあり、安全に話し合える状態ではない場合には、夫婦だけでの話し合いを無理に行わず、安全の確保や専門機関への相談を優先してください。
※このコラムは、特定の行動や結論を勧めるものではありません。
ご自身の状況を整理するための一つの視点としてお読みください。