―夫婦問題では、あなたの気持ちだけを見ていても解決しないことがあります―
「女性のカウンセラーの方が、私の気持ちを分かってくれるでしょうか。」
「離婚経験のある人の方が、相談しやすいでしょうか。」
夫婦問題の相談先を探していると、
そんなことを考える方もいると思います。
確かに、
「この人なら分かってくれそう。」
と思えることは大切です。
話しにくい相手には、
本当の気持ちを話すことも難しいからです。
でも私は、
同じ経験をしていることと、その人の夫婦問題を理解できることは、別の話だと思っています。
────────────────────
離婚経験があっても、それは一人の離婚経験です
例えば、
離婚を経験したカウンセラーなら、
離婚する人の気持ちがすべて分かるのでしょうか。
私はそうは思いません。
夫婦の数だけ、
そこに至る事情があります。
結婚した経緯も違う。
子どものことも違う。
お金のことも違う。
夫婦の力関係も違う。
そして何より、
その人がこれからどうしたいのかも違います。
自分の経験と似ているからといって、
自分の経験をそのまま相談者に当てはめてしまったら、
かえって大切なものを見落とすこともあると思います。
────────────────────
私は、相談者の味方だけをすればよいとも思っていません
これは、
少し誤解されるかもしれません。
もちろん、
つらい思いをして相談に来られた方のお話は、
きちんとお聴きします。
ただ、
夫婦問題には相手がいます。
「なぜ夫はそんなことを言うのだろう。」
「こちらがこう言ったら、相手はどう受け取るだろう。」
「この話し方を続けたら、二人の話し合いはどうなるだろう。」
そういう相手側の心理や反応まで考えなければ、
現実の夫婦問題はなかなか動きません。
相談者に共感することと、相談者の言うことをすべて肯定することは違う。
私はそう考えています。
────────────────────
「あなたは悪くありません」で終わらせたくありません
苦しい時に、
自分の気持ちを分かってもらえるだけで、
少し楽になることはあります。
それはとても大切なことです。
でも、
相談がそこで終わってしまったら、
明日からの生活は何も変わらないかもしれません。
私は、
「つらかったですね。」
だけで相談を終わらせたくありません。
では、
これからどうするのか。
相手に伝えてみるのか。
伝え方を変えてみるのか。
少し距離を置くのか。
別居を考えるのか。
今は何もしないのか。
その人が自分で次の一歩を選べるところまで、一緒に考えることが相談だと思っています。
────────────────────
正解を決めるのは、カウンセラーではありません
だからといって、
私が、
「こうした方がいい。」
と人生の答えを決めるわけでもありません。
夫婦関係を続けることが正解の人もいれば、
離れることが必要な人もいます。
今は結論を出さない方がよい人もいるでしょう。
私自身、
多くの夫婦問題に関わってきましたが、
誰にでも当てはまる一つの正解があるとは思っていません。
最終的に人生を歩いていくのは、
カウンセラーではなく、
相談に来られたご本人だからです。
────────────────────
私ができるのは「見えていないもの」を一緒に見ること
悩みの中にいる時は、
どうしても視野が狭くなります。
夫のことしか考えられない。
離婚するかしないかしか考えられない。
自分が我慢するしかないと思っている。
そんな時に、
少し違う方向から状況を見る。
相手の心理も考えてみる。
変えられることと、
自分では変えられないことを分けてみる。
そして、
「では、自分はこれからどうしたいのか。」
と考えてみる。
私は、
そのためにカウンセラーがいるのだと思っています。
────────────────────
まとめ
相談する相手に、
「自分の気持ちを分かってほしい。」
と思うのは当然のことです。
でも私は、
寄り添うことは、相談の出発点であってゴールではない
と思っています。
同じ経験をした人から答えをもらうのではなく、
自分とは違う相手のことも含めて状況を整理し、
最後は、
自分自身が納得してこれからを決める。
そして、
小さくても実際に一歩進んでみる。
そのためのお手伝いをすることが、
私の考える夫婦カウンセリングです。
────────────────────
「話を聞いてもらうだけでは、何も変わらない気がする。」
「自分がこれからどうしたいのか、一人では分からなくなっている。」
そんな時は、
今まで何があったのかを話すところからで構いません。
あなたの気持ちだけでなく、
相手との関係や今後の選択肢も一緒に整理しながら、
これからの一歩を考えていきます。
※このコラムは、特定の行動や結論を勧めるものではありません。
ご自身の状況を整理するための一つの視点としてお読みください。