― 自分を守るための、現実的な距離の取り方―
モラハラの相談を受けていると、
多くの方がこう話されます。
「言い返さないと、負けた気がする」
「黙っていると、認めたことになるのではないか」
「何も言わないのは、冷たい人間だと思われそうで怖い」
相手の言動に傷つきながらも、
“ちゃんと向き合わなければいけない”
“分かってもらわなければ意味がない”
そう考えて、必死に反応し続けてきた方も多いのではないでしょうか。
モラハラの関係では、
言葉の内容そのものよりも、
相手の反応を引き出すことが目的になっている場合があります。
説明する
弁解する
気持ちを伝えようとする
涙を見せる
こうした反応は、
「まだ影響を与えられている」
「コントロールできている」
という感覚を、相手に与えてしまうことがあります。
その結果、
こちらが真剣に向き合うほど、
相手の言動がエスカレートしていく――
そんな悪循環に陥ってしまうケースも少なくありません。
ここで大切なのは、
反応を減らすことは、相手を無視することではない
という点です。
怒りをぶつけ返さない
説明を重ねない
感情を過剰に見せない
それは冷酷さではなく、
これ以上自分を傷つけないための
距離の取り方です。
これまで十分すぎるほど、
相手の言葉に向き合い、
関係を保とうと努力してきた方ほど、
「もう頑張らなくていい」という考え方に
強い罪悪感を抱きがちです。
ですが、
自分を守る行動と、相手を攻撃する行動は、
まったく別のものです。
実際に反応を減らそうとすると、
次のような不安が出てくることがあります。
余計に怒らせてしまうのではないか
関係が壊れてしまうのではないか
自分が悪者になるのではないか
こうした不安は、
これまで相手に合わせ続けてきた人ほど、
自然に湧いてくるものです。
だからこそ、
「正しいか、間違っているか」だけで判断せず、
自分の心と体がどれだけ消耗しているか
という視点を持つことが大切になります。
反応を減らすことは、
無関心でも、冷酷さでもありません。
これまで十分すぎるほど頑張ってきた自分を、
これ以上傷つけないための、
現実的で穏やかな対処法です。
このコラムでは今後も、
「自分を守るための距離の取り方」について、
少しずつ整理してお伝えしていきます。
もし今、
「頭では分かっているけれど、気持ちが追いつかない」
「一人で整理しようとすると、余計に混乱してしまう」
と感じているのであれば、
無理に答えを出す前に、
今の状況や気持ちを言葉にして整理する、
という選択肢もあります。
※このコラムは、特定の行動や結論を勧めるものではありません。
ご自身の状況を整理するための一つの視点としてお読みください。